ビッグマウンテン、聖なる大地を巡礼する


Long Walk for Big Mountain(日本)
   〜Save Black Mesa Players Walk(アメリカ )

山口晴康(Walk in Beauty Project)

 2000年1月1日、初日の出を位山という飛騨の先住民の聖山で迎え、行進の一歩をスタートした。美濃・信濃・甲斐の日本の美しい山々を越え、古代の道を通 り、まだまだきれいな川辺を下りながら、1月22日、東京・日比谷公園まで約500kmを歩いて行った。ビッグマウンテンというアリゾナにあるアメリカ先住民ディネ(ナバホ)とホピの聖地を、地下に眠る鉱物搾取のために破壊し、その大地を守り住んできた人々が強制移住させられることに対して、日本中から寄せられた約14,000名の署名をアメリカ大使館に届けた。40人位 で歩き出したウォークは、日本の最後には250人位の輪になっていた。その後アメリカへ渡り、1月27日、アリゾナ州フラッグスタッフにある聖山サンフランシスコ・ピークスにて再び日の出を拝み、日本からの約30人とアメリカはもとより他の国から集まった人たちと共に約200km歩いて、2月1日、ビッグマウンテンの中心部に到着。2月2日、ディネの長老、ホピの人、そこに世界中から集まった人たちと共に輪になり、日本から運んできた聖なるパイプをふかして、多くの人の祈りを無事に届けることができた。

 そもそもこのウォークは、ビッグマウンテンにいまだ残る長老たちに、遠く日本から2000年2月1日に出された最後の強制移住期限日までに僕たちの声を届けよう、あなたたちの声を僕たちが聞いて、あなたたちが語る言葉に全ての地球の人にとっての真実を見て、そこから多くのことを学んでいるという事を伝えよう、という想いから始まった。そして行くならこの二本の足で、まず自分たちが住むクニから歩き出そう。天と地と四方向のスピリットと共に、つながる全てのいのちと共に、一歩一歩を祈りとしながら歩いて行こうと。

 ビッグマウンテンで起こっていることは、日本はもとより、世界中の先住民の地で起きていることの一つの大きな象徴だと思う。僕たちのクニでも同じように聖なるところ、母なる自然が破壊され、そこに住む無数のいのちや人々に受け継がれてきた伝統が消え、祈りが失われている。だからこそ、ビッグマウンテンに残る本当の大地の守り人である伝統的なディネの人、ホピの人に、僕たちはこれからの未来に向けて、多くのことを学ばねばならないと思う。僕たちが本当にもう一度、母なる大地と共に生きる道を取り戻さなければ、僕たちの子供たち、そしてその子の子供たちの未来が、永遠に失われるだろう。

 過去の2000年、破壊と支配の2000年は終わったんだ、この行進を歩きながらそう思った。これからの未来、調和と再生の時代を創造しよう。そのための祈りとなるように、ビッグマウンテンを通 して、全てのいのちと大地に対する祈りとなるように、僕たちは歩いた。この一歩一歩が、大地を震わし、天に響く、祈りの歌となるように、聖なるパイプと鷲の羽根に導かれ、聖地を目指した。ビッグマウンテンがいつまでも聖なるところであり続けられるよう。そこに住む人たちも獣たちも虫たちも、共にいつまでも聖なる歌を唄い続けられるように。

 私は歌、私はここを歩く。(アナサジの歌/ゲイリー・スナイダーの詩より)

 私は祈り、私はここを歩く。(ウォークの時、みんなで唱えた言葉)

------- 目次 -------

●デイリーレポート

●The Long Walk for BIG MOUNTAINについて

●プレスリリース(新聞記事の紹介)

●出発点である位山について

●立場表明文

●カンパ会計報告(ご協力ありがとうございました。)
 注:PDFにてご覧にいただけます。