1/15(土) 晴れ
ドーンドーン、ドンドンドン、南無妙法蓮華経。ドーンドーン、ドンドンドン、南無妙法蓮華経…。太鼓の後に続いて佐藤上人様のよく響く声が聞こえる。ここは甲府の日本山妙法寺。昨日はここで食事を頂き泊まらしてもらった。山の上の不思議な空間である。今俺の寝ているところから仏舎利塔が見える。ここから仏様が見える。仏様もこっちを見ている。俺はムックリ起き上がり、隣の部屋まで行った。ここの床は妙に俺の体にフィットし、ぐっすり寝てしまった。俺が起きた時は、皆たいがい起きていた。俺は寝ぼけまなこで上人様の後に続いて、南無妙法蓮華経と唱えた。朝のお勤めも終わり、飯の用意をしていると、法光寺に泊まっていた人達がやってきた。朝飯を食べ、身支度をし、荷物を積んだ。皆で輪になり、上人様の言葉を聞き、FOUR DIRECTION
SONGを歌って出発した。
FOUR DIRECTION SONGというのは、東西南北と天と大地に祈りを捧げる歌である。てく、てく、てく、てく。ドン、ドン、ドン、ドン。ハルさんの太鼓が響き、歌が歌われる。
途中、アイヌ民族の権利のために闘っている人達が、お茶を用意してくれていた。その後ろの笛吹川の川辺には、路上生活者の生活空間があり、対岸にはブルドーザーとシャベルカーが川を掘り返していた。そして川は元気なさそうに流れていた。何という空間だろう。僕はフト空しくなった。そのアイヌ民族の権利のために闘っている会の名前はウレシパ・チャランケといい、その人達と再会を約束し、再びウォークは動き出した。太鼓が鳴り、声が響いた。
そうこうするうちに昼飯をお世話してくれる大善寺に着いた。国宝の薬師如来堂の前でサークルをつくり、祈り、昼休憩になった。俺は300円借りて、薬師如来堂へ入った。その中はまさに別世界で、ドーンと神々がせまってきた。俺はクラクラした。説明を聞き、神様をジロジロ見た。そして昼飯をいただきに下へ降りて行った。そこにもいろんな神様がいた。ごちそうさまを言い、昼食を用意してくれた人と大善寺の人にお礼を言って、ウォークは再び始まった。
ドン、ドン、ドン、ドン。再び太鼓は鳴り歌を歌った。ズンズン歩いて行き、今日の最終地点に着いた。そこから昼飯の時に話し合ったように、笹子トンネルを通らず、笹子峠をリレーで走り越える準備をした。ボブさんが第一ランナーだ。皆で歌を歌い、ボブさんを送り出した。皆車に乗り、ボブさんを追いかけた。俺は歌を歌って走者を励ました。皆どんどん興奮し、俺も興奮してきた。そのうち、初めに決めた走る順番など関係なくなり、走りたい人はひたすら峠を駆け登った。下りもひたすら走った。アッという間だった。峠を下り終えた時、興奮、歓喜、いろんなことが爆発し、誰ということもなく踊り出し、叫び、歌を高らかに歌った。歓喜、歓喜、歓喜。皆抱き合った。
そして用意してくれていたお茶を飲み、フーと息をつき、興奮さめやらぬ体で車に乗り、今晩お世話になる五味さん宅にお邪魔している。凄いご馳走だ。おっと、今、パン屋のケンさんが焼いてくれたアツアツのPIZZAが来たぞ。それでは、イタダキマス。
[文責/広瀬浩司・信州大学農学部森林科学科3年]
ランは皆を熱く一つにしてくれる。感動を与えてくれる。歓喜しほとばしる感情を爆発させた後のみんなの顔は、キラキラしてとっても眩しい。最高! 僕にとっては88年に北海道から鎌倉へ走って以来のベリーショート・ランだった。ちなみに今年夏、オーストラリアでは「セイクレッド・ラン」が行われる。
しかし今回のビッグマウンテンへのアクションでは、ウォークにこだわった。ランは風のように通り過ぎていくが、ウォークは誰でも参加でき、じっくりと人と大地と地域を繋いでくれる。それにウォークだとランできるけど、ランだとウォークできないしね。
虹色の蛇(地をはうドラゴン)が、四方向のスピリット・天・大地・生と生きとし生けるものの命とつながり、みんなの想いとエネルギーをいただいて、どんどん大きく成長しながらゆっくりと進んで行く。そんな感じがピッタリくる。
夜は50人以上集まって、再び甲府に戻って、五味さん宅で甲州最後の晩餐会を行った。位山を出発した時のビデオをみんなで初めて見たのだが、ウォーカーの顔が、特に20代の顔が全然違うのに驚いた。たった15日の間に、物凄い体験と成長を繰り返してきたのだと思う。アメリカまで行くメンバーも、30人を超える勢いである。これからまだ先が、本当に楽しみだ。
ここ山梨では、細やかな気配りの素晴らしいオーガナイズに、そして各地のサポーターの皆さんの暖かい心に触れられたことに、本当に感謝している。オーガナイザーの藤田くん、おおえまさのりさん、本当にありがとうございました。僕たちにとっての「いのちのまつり」はこのウォークです。そしてアメリカから帰って来たら、今度は八ヶ岳に合流するからね。ケンちゃん、うららさん、タカボッチにも合流するからね。
笹子峠を境に、東京圏内(通勤圏内でもあることだし)に入った感じがした。年末、Y2Kを越えて飯能で電気を使わないギャザリング「ひょうこま」をつい先日までやっていた吉田ケンゴたちが、五味さん宅でいよいよ合流した。国内ウォークも、残りもわずか一週間だ。ウォーカー27人、峠越えランナー16人、歩行・走行距離約40km。
[文責/あきお]
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