1/12(水) 曇り
朝7時半、いつものようにモーニングサークルをつくり、野良屋を出発。車で杖突峠まで行き、車を避けて舗装されていない山道を使って、峠を下山する。森の中の道はとても気持ちよかった。ところどころ残る雪と氷。澄み切った空気。山中から滴り出る湧き水。清々しい朝のウォークだった。
街に降りると、すぐに諏訪大社前宮前に出た。お参りして、境内で休憩させてもらう。社殿は四方を御柱の結界で守られていた。説明書きの立て札を読んでみた。
「ここ前宮は、諏訪明神の住まう所として諏訪大祝(おおはふり)の居舘を存し、神秘にして原始的なミシャグジ神を降ろして、諏訪明神の重要な祭祀、神事を執り行った聖地」とあった。丁度神官が通
りがかったので、この降りる場所とは守屋山かと尋ねると、やはりそうだった。
守屋山の神は、ミシャグジという名で呼ばれていた。そしてやっぱり守屋山が諏訪大社の最も重要な聖域だったのだ。別
の説明書きを読んでみた。
「中世までは半地下の土室がつくられ、現人神の大祝や神長官以下の神官が参篭し、旧暦12/23に御室に入り、蛇型の御体と称する大小のミシャグジ神と共に、穴巣始(あなすはじめ)といって冬ごもりした。3/中旬の寅日に御室撤去まで、土室の中で神秘的な祭祀を行った。」とあった。
半地下の土室とは、まさにビッグマウンテンのあるフォーコーナーズ一帯で見られる、アナサジの地下祭祀場キバを彷彿させる。また地面
の中に、マザーアースの子宮の中に入りこもるというのは、ラコタ族に伝わる、ビジョンを得るために断食して地面
に掘った穴の中に蓋をされて入り、祈り瞑想するピット・ビジョンクエストを思い起こさせる。この神道とは思えないアミニズムぶりは、きっとこの地の先住民モレヤ族のセレモニーが伝わったものであろう。それにしても驚いたのは、ミシャグジ神が蛇形だったことである。
ウォークは位山を出発してからというもの、龍(水)や蛇(大地)やまつろわぬ
先住民にゆかりの地を、図らずも歩き続けている。この高遠・諏訪の地においても、先住民のスピリットが、大地の守り神である蛇が、そして国津神として祀られている健御名方命(たけみなかたのみこと)が、何かを呼びかけてきているのであろうか。それとも僕が関連づけて読みすぎているのだろうか…。
昼食は市内にある、曹洞宗の泉長寺を使わせてもらった。食後は全員お堂に集まり、ご住職と一緒に般
若心経を唱え、一人一人ご焼香させてもらい、お守りを頂いた。裏面には9の字になった曲玉
が蓮華の中にあしらわれている素敵なものだ。お守りまで頂き、ありがとうございました。
その後、富士見駅で合流組を迎え、途中で警察に質問されたりもし、今日は約23kmを歩いてまだ陽も高い内に、原村の「カナディアン・ファーム」(tel.0266-74-2741
左写真)に到着した。
針葉樹の森の中、大きなログハウスが建ち並び、とても日本とは思えない光景。ファクトリー倉庫には一通
りの工作機械が揃い、建物のデザインも個性的で、建て方も日本人離れしていて大胆。体からしてカナダ人のように大きいオーナーのハセヤン自らが、手に入る素材をいろいろと使って楽しんでつくっている感じが伝わってくる。しかもパンを焼いたりする石窯の熱を使ってお風呂を湧かしたり、煙突の熱を上手く室内に回して暖房に利用したりと、自分で考え工夫して無駄
なくコー・ジェネレーションしているところもニクイ。その上、本業は大工ではないというのだから恐れ入った。敷地内ではケベック料理のレストランを経営していて、肉や魚の燻製がテラスの屋根からずらりとぶら下がっていた。ギャラリーやスーベニールショップや様々な工房もあって、丸一日遊べそう。夏は観光客で大いに賑わっていることだろう。
カナダ・アメリカ生活が長いらしいが、彼のライフスタイルは僕の知っている、何でも自分で工夫して作り、直していくロッキーの山の中に住む友人達にとても近い。「廃材大国」という単行本でも丸ごと一冊、彼のそのユニークなライフスタイルが紹介されている。しかし何より関心したのは、一切お金を掛けないというその姿勢だった。広大なこの土地は家を建てた代わりに頂いたり、持っていた別
の土地と交換したりしたもの。様々な材料や道具は、全部もらい物で、ほとんど買ったためしがないという。どうしてそんなこと可能なの?と思うが、その秘訣は、まず地元の人と仲良くし、情報が入りやすくすること。そして焦らず、じっくり待つこと。2年も待てば大概の欲しかったものが手に入るらしい。またもらえる物があれば、六本木のレストランまででもトラックで取りに行くのだという。千里の道も一歩からという、耳慣れた言葉を思い出した。コツコツと何年もかけて道具を揃え、材料を集め、家を造る。水道もない、電線もないカナディアン・ロッキーの山の中で、自分の大国を造り、パソコンやソーラーパネル(ただし主電源はモーターの自家発電機)も使いこなし、快適に過ごす達人ヒッピーたちに出会い、家って自分で造れるものなんだということを知り、子供の頃やった基地ごっこの延長ですっごく楽しそうだと思った。大鹿村の達人たちといい、ほんとにすごい人はたくさんいるもんだ。
温泉に行って帰ってみると、食べきれないくらいの料理でハセヤンやスタッフの人達は僕らをもてなしてくれた。僕らもお返しにインディアンソングを歌い、ボブさんや、生活サーカスのケン坊らもギターを手にライブしてくれた。みんなで歌い、笑い、とっても幸せな気分の晩餐と交流会を過ごせた。外では久しぶりの雪がパラパラと降り、あたりをうっすらと白くお化粧してくれていた。
[文責/あきお]
1月12日(水)朝は6時に目が覚めた。夜はかなり冷え込んだみたいだけど、暖かく寝かせてもらった。のら屋さんは石窯でパンをやいている。おいしいパンをよばれる。朝のコーヒーやお茶、スープなど暖かいものがほんとうにありがたい。のら屋さんには何からなにまで、なにもかもお世話になりました。ほんとうにありがとうございます。
きょうは杖突峠から諏訪におりる道を自動車道から山の中の道に変更になった。ものすごく気持ちのいい道だった。やっぱり自動車のこない道はいい。土の道はいい。落ち葉や土を踏んであるく。歌いながらあるく。みんなも愉しそうだ。まるで遠足みたい。ボブさんはやんちゃな番長さん、ハルさんは級長というところかな。とくるとアキさんは校長先生といったとこかな。アキさんは車でサポート。ビデオをとったり、食材を運んだり。
おもっていたよりかなり早く、諏訪神社についた。諏訪大社の下社にごあいさつ。サポートチームがパンやおにぎり、お茶、コーヒーをもってきてくれる。野沢菜やヤーコンというもの漬物がおいしい。きのうやおとついのカズさんのレクチャーで地形や地質、地理などのいろんなことを教えてもらったのがなるほどとなっとくできる。自分の足であるくとよくわかる。交通
量の多い国道をとことこあるく。安国寺でお昼をいただく。食事のあとご住職のご指導のもと般
若心経をとなえ、お焼香。お寺のあと富士見までは雪がふり始めた。飛ぶようなスピードでみんな歩いてゆく。先頭の集団からはなれてしまった。でもアースフラッグをもつ広瀬くんにたすけてもらいながら、歩く。祈りながら歩く。歩くことが祈りそのものなのだ。歩きながら歌う。祈りの歌をうたう。歌こそ祈りなのだ。
祈りこそがすべての生き物、地球、自然、宇宙の調和をはかるものそのものなんだと感じる。道が山にかかるころ、雪がふりだした。それでもスピードは全然おちず、3時ちかくにもう富士見の目的地についてしまった。そのあとは藤田ヒロさんにカナディアンファームにつれていってもらった。こんどもまたまた別
世界だった。温泉へつれていってもらって、カナディアンファームの食堂で夕食。夢のようなごちそうがならんだ。加藤君、真吾、ヨータ、シャイアンら何人かが断食しているのが気の毒。でも、それすらもすてきな修行にみえてくる。地元のサポーターの皆さんやウォークのメンバーもたのしそう。そのあとミニコンサート。アースソングをみんな大声でうたって、あとは義隆さんとケンボーとボブさんのうた。みんなものすごいテンションを感じる。ローリングドラゴン動き出した。この巡礼旅そのものがローリングドラゴンなのだ。
デイダラボッチも出てこい。ことしの祭りへつながってゆけ。始まるぞ。祭りも始まるぞ。やりなおそう。また美しい世の中つくろう。美しい道をこれからもみんなでずっと歩きつづけよう。
[文責/せいかつサーカス はる]
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