デイリーレポート



1/11(火)曇り時々晴れ

  朝のサークルは56人。信濃毎日新聞の取材も入る。地元の森林組合に勤める松尾さんが、随分と動いてくれたようだ。地元の人に歓迎されて一緒に歩けるのが、何よりありがたい。子供達、赤ちゃんをおぶさったり乳母車を押すお母さん、おばあちゃん、みんなで一緒に、ゆっくりと長谷村を歩く。そして高遠町へ。通 りすがりに出会った一人のおじさんが「わしも差別は大嫌いだ」といって飛び込みで一緒に歩いてくれた。こんな事もあるんだ。すごく嬉しかった。

 高遠町からは地元で石窯焼きのパン屋を営む、このあたりの拠点、野良屋(のらや/tel.0265-96-2687 左写真)の塩田さんが案内してくれた。「僕が一番好きな道で、ぜひ皆さんに通 ってもらいたかったんです。」といって案内してくれた道は、舗装されていない道だった。歩いても膝が痛くならない道。車がほとんど通 らない道。ダンプが決して通らない道。地元のおばあちゃんや農家の人が使う道。真ん中に草が生えている道。そして塩田さんの子供が小学校に通 う道だった。田圃や用水路の横をくねくねと歩く。しばらく行くと、田圃の中に緑色のティピと緑色の大きな屋根の家が見えてきた。ここが今晩お世話になる野良屋だ。ご夫婦は東京からの移住組。古い農家を改修して住んでおられる。自慢の石窯焼き天然酵母パンも旨かったが、黒米や雑穀なども自分達でつくっていて、その雑穀おにぎりもとても美味しかった。

 昼食後、再び行進。今日の予定は杖突峠まで。途中、道沿いにある守屋神社に参拝する。守屋神社は後ろにそびえる守屋山を祭る神社で、1400年前に蘇我氏との戦いに敗れて逃げてきた物部守屋の一族が創建したとされ、山頂には守屋を奉る石の祠がある。ところがその昔、このあたりにはモレヤ族という先住民がいたともいわれ、守屋山には彼らの巨石信仰の跡も残っているという。また古い地母神を祭った山で、蛇山伝説があり、とぐろを巻いた蛇石もある。そして守屋山は諏訪大社の神様が降りる場所として諏訪大社が管理しており、守屋神社はこの一帯で唯一、御柱を建てない神社でもある。なぜかこの守屋山が気になってしまう。

 野良屋の奥さん曰く、守屋山一帯の山の尾根は蛇の姿をしているという。だからこの土地が蛇と深い関わりがあるのではないかと。蛇は手足がなくて、体全体で一体となってくねくねと動く。我々ウォーク隊が一体となって山道を歩く様は、鳥の目で見ればきっと蛇に似ているだろう。人体のチャクラ・エネルギーの動きも、クンダリーニのように蛇で言い表されている。蛇と龍は同じ大地のエネルギーのシンボルだと思う。そして、伝説の大蛇ヤマタノオロチはドラゴンであり、龍を退治する伝説は、人間が大地を我がものとして征服した証であり、そこから人は大地との絆を絶ってしまったのだと思う。もしかすると守屋山にはヤマタノオロチに象徴される大地の神が、龍が封印されているのかも…。などと、どんどん想像は連鎖していった。

 杖突峠の頂上に着くと、そこからは諏訪湖と諏訪の街が一望に見渡せた。ここでカズさんのレクチャーが入る。諏訪湖で中央構造線と糸魚川静岡構造線が交わるのだと。つまり日本のフォーコーナーズ!それが諏訪湖だった。諏訪湖といえば、「もののけ姫」にも出てきた森の精霊のシンボル・ダイダラボッチが眠る湖でもある。今年の9/9に「いのちのまつり2000・タカボッチ」をオーガナイズするパン屋のケンちゃんから、「あそこに見えるタカボッチにダイダラボッチは腰掛けたんだ」との説明も入る。

 ボブさんのライブ

 夜、今晩で大鹿村に帰るカズさんのパイプを引き継ぐためのセレモニーが行われた。ウォーク隊を引率してきたカズさんが明日からいなくなるのは少々不安である。今ではウォーカー全員が同じ学校に通 うクラスメイトの感じがする。学級長はハル、担任の先生はカズさん、校長先生はアキさん、そして番長がボブさんで、馬?は永井。そして20代を中心に個性的なクラスメイトが大勢いる。世代をまたがり一緒に学ぶ、素敵な旅する学校である。

 本日の歩行距離 約25km。

[文責/あきお]